【閉鎖間近】叡智とソフィア

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【2040 オメガΩポイント】鎌倉駅東口

鎌倉駅東口。平日でも修学旅行生や観光客で賑わっているが夜間に入ると人影はまばらになる。私は鎌倉駅前には不釣り合いなマクドナルドで疲労した身体にご苦労さんと労うようにコーヒーとアップルパイを注文する。摂氏50℃のコルカタの街中を歩いていたときにマクドナルドを見つけたときは砂漠でオアシスに出会ったような感覚を持ったのを思い出した。

 

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東口のバスロータリーから鎌倉霊園を経由して金沢八景へと向かうバスに飛び乗る。私はカトリック修道院で指導を受けるために休暇を利用して鎌倉へと訪れるようになった。日帰り、一泊二日の小旅行に丁度良く修学旅行気分も味う事ができる。木更津から川崎を結ぶ海底トンネルアクアラインを経由したり、福生から中央線に飛び乗り湘南新宿ラインを利用して片道2時間ほどかかる。

 

鎌倉の観光スポットから離れて逗子ハイランドを横目に鎌倉霊園の手前の十二所の停留所で降りる。停留所から直ぐに脇道があり修道院へと続いている。脇道は急な坂道になっており韓国人の神父はここを殉教坂と名付けたそうだ。息を切らしながら坂道を望むとハンドメイドの小さな標識に殉教坂と書かれている。

 

殉教坂を上ると修学旅行生が泊まるような旅館とホテルの中間のような華美を避けた無骨な建物がある。修道院の中庭では散歩ができる空間があり、更に小さな山へと続く脇道がありトレッキングもできる。

 

受付で登録を済ませ費用を払い客室を告げられる。施設は老朽化しているが綺麗に掃除されており設備も適切に管理されている。室内に入ると机とベットのみという簡易なものだ。日本に派遣されたイエズス会士が日本語習得まで研修を受けるために使用されていたらしい。

 

修道院ではミサに参加したり、霊操の指導を受ける事ができる。霊操の指導は神父やシスターばかりではなくトレーニングを終了し教会に認められたカトリック信徒が行う場合もあった。

 

霊操は英語では”Spiritual Exercises”である。身体に体操が必要なように魂にもエクササイズが必要ということだ。

 

霊操の指導では個人的なインタビューとして15分から30分ほど1日に2回ほど受けられる事ができる日もあった。

 

スペイン人のシルゴ神父は一人でこの大きな修道院に寝泊まりしているという。イエズス会士の宿泊施設の役割を終えて修道院は間もなく閉鎖予定とのことだ。

 

隠れ家や別荘代わりにもなるとこの気に入っていた修道院とももうお別れとなると寂しい気分だ。これから後何回ここを訪れる事ができるのだろう、そう思った。