【閉鎖間近】叡智とソフィア

レクレーションで創作活動中です!

【2040 オメガΩポイント】呪術と魔術の園

私の主よ、あなたは称えられますように
  兄弟である風のために。
  また、空気と雲と晴天と
  あらゆる天候のために
  あなたは、これらによって、
  御自分の造られたものを
  扶け養われます。

アシジの聖フランシスコ

 

 

私は鎌倉の十二所にある修道院の庭にいる。日本庭園のようだ。施設の一室も和室になっており畳が置かれた部屋で祈り瞑想することができる。フリーで働く仏教の和尚の団体も年に数回この修道院を訪れてリトリートに使っている。

 

庭で私は霊操を行う。

太陽の陽射し、ポカポカした陽気、頬を撫でる風、そうした自然のなかに神の働き、み心を感じられるように。

 

「君はまだ頭で考えているのだよ。知識を詰め込み過ぎている。霊操は心で感じ、そして霊感を言葉に落とし心の底から納得できるようにならなければ」。

 

シルゴ神父や信徒の世話人から再三と注意される。私はプロテスタント的な在り方であるスーパスティション迷信を排斥し、知性や理性を重視する理知主義的な傾向があった。そして知識の積み重ねが信仰の証とも考えていたのだ。

 

個人での霊操が終わり、シルゴ神父のいる施設の一室に向かう。室内では二人が対面して座れるような小さな机と椅子が置いてあった。

「聖書を昨日の夜に読んでいまして、シモン・ペトロがあらためて気になったんです。オリーブ山では叱責を受け、イエス様がご受難に遭われるときは、逃げてしまった。それでもイエス様のご復活に巡り逢えて、ペトロご自身がイエス様の役を演じることが出来るようになった。これこそ奇跡のように感じます。」

「イエス様と聖ペトロは男と男の人生を賭けた本気の関係なのですよ」。聖書のレクチャーを受ける。

「私はプロテスタントのままでいいのでしょうか。このまま霊操のトレーニングを続けたいのですが、カトリックへ改宗すべきでしょうか」。私は唐突に話題を切り出す。シルゴ神父少し黙想した。

「神様にお祈りしてみてください。改宗自体は簡単なことですよ」